授業課題

井上泰佑

『Glass Flowers』Console, Tranquil

Glass Flowers

3DCGを使った繊細なグラフィック表現

「Florist Shibuya」という架空の花屋のポスター。花の持つ繊細な美しさをガラスのテクスチャで表現することに挑戦した。大学では建築を専攻していた関係で、3Dソフトを触れる機会が多く、これは自分の武器であると思った。この授業では半年間、一貫して3Dをどうグラフィックに落とし込むかを研究していた。今回のポスターはその最終的な解答である。モデリングはRhinoceros、レンダリングはcinema4dというソフトを使用した。印刷にはホログラム紙に出力した。文字以外には白100%の上にビジュアルを出力、文字のガラスが被っていない部分には白10%、ガラスに透かす部分は白30%と細かく調節した。その結果、文字に鏡のような光の反射が生まれ、ガラスのビジュアルと共鳴させることができた。



展示台やシートも「赤の広場」を参照して制作した

Ms.Блины ミス・ブリヌイ

カッティングプロッターを使った繊細な装飾を施したパッケージ

ロシアの伝統料理「ブリヌイ」のパッケージを制作した。ロシアといえばボルシチやピロシキが有名だが、ブリヌイもまた非常にポピュラーな料理である。パンケーキとクレープの中間のような食べ物で、ジャムや蜂蜜を塗ればデザートに、野菜やハムを包めば惣菜にもなる。実際に自分で作って食べたが非常に美味しく、また具を選ぶのも楽しかった。
パッケージはロシアの有名な建築物であるワシリイ聖堂をモチーフにした。元の建築の装飾を再現するために細かなカットができるカッティングプロッターを使用した。
ロゴはロシアの構成主義的なタイポグラフィを参照してタイポグラフィを自作した。



寺田寅彦著『柿の種』のブックデザイン

寺田寅彦の知的なユーモアに溢れる短編集。「余裕のある時に、一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」という著者の希望に沿い、1ページずつ切り離せる装丁にした。
また、本を開くと柿の形になるようにし、果物の栄養を摂るように、短編を読んで心の栄養にしてほしいという願いを込めた。
表紙のテクスチャは自分で染めた和紙をスキャンしたものを出力している。表紙の種子部分にはバーコ印刷を施してテカリを出し、視覚的なアクセントにしている。
360度開く製本は、印刷所から頂いた特殊な糊を使用することでようやく実現した。

開くと柿の形になるように3Dソフトでシミュレーションした



池田紙工という実在する企業のイメージポスターを制作。実際にクライアントの意向を汲みながら制作する貴重な機会となった

至高の紙工

広告制作の実際を経験する

電子化が進み情報が氾濫した現代で本の価値を再考し、制作したポスター。情報をよりすぐり、職人たちの手によって手間暇かけて出版される本たちを至高の一品と捉えた。それを池田紙工の職人たちに呼びかけることを狙いとした。
モデル出演依頼、スタジオ選定、スタイリング、撮影を全て自分たちで行った。メインコピーの「至高の紙工」の文字部分には金箔を貼り、至高感を強調した。

『Glass Flowers』『柿の種』の出力や制作には「河内屋」さんに尽力いただきました。
この場を借りてお礼申し上げます。

グループ制作 AD: 福田稜子 副AD: 井上泰佑 石関夏恵 遠山黛佳 松原京

井上泰佑
今までずっと「デザイン」がしたいのではなく「デザインの勉強」がしたかった。
桑沢を卒業することでようやくこの呪縛から開放された。
前に向かって歩んで行こうと思う。

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