今、変容するワークスペースのあり方
今年度は身の回りの生活の急激な変化を誰もが強く体感した一年だったと思います。職と住が近づき、様々な事柄の根本的な概念が揺らいでいく中で、私はいま変わりつつあるワークスペースのあり方について考えました。自宅における新たな仕事の場の出現、オフィスにおける人と人の距離感と空間別けの必要性…。これらの「今」だからこそ生まれ、解決したい空間の問題の変容の先をとらえようと試みました。
多様な働き方を受け止めるエレメント
これからの働き方は、場所や時間を選ばずより流動的になっていくと考えます。そうしたときに、コモンスペースに個人の時間を過ごす島のような役割を持つエレメントをおくことで、刻々と変化する働き方を受け止めることができるのではないかと考えました。かつ、それによって空間が分断されるのではなく、場に溶け込む普遍性を持ちながら緩やかにつなげられるものであってほしいと考えます。コロナで目まぐるしく状況が変わる中で、レジのパーテーションなど、現在ある問題に対応するためには必要だけれども、これからずっと使われていくのかわからないものが現れ、それがいかにも出来合いのものであるように見えることも気になっていました。
そこで私は、ダンボールや紙の素材からなる部材を折って組み立てることで誰でも簡単につくれ、テンポラリーだけれども設えとしての完成度を高めた、場の変化に柔軟に対応できるユニット家具としてのワークスペースを提案します。