
自分をみつめるきっかけをつくる「惟」
「自分を信じて」「自信を持って」「自分を大切にして」
度々言われるこの言葉は、意味は簡単ですが、具体的にどのようにすれば自分を大切にしたり、信じたりできるのかは自分自身で考えなければなりません。
今年の浅葉ゼミの卒展テーマはMIRORです。日本には鏡を「神鏡」としてご神体、依代とする神道があります。鏡をとおして神に願うと同時に、鏡に映った自分自身をみつめ己を振り返ります。神道には自分の願いを意識し、自分自身をみつめる時間をつくるプロセスがあると考えます。
私が卒業制作で制作したものは、神道からヒントを得た、自分を大切にするための方法の提案です。

生活に馴染む授与品
神社で親しまれているおまもりや絵馬などの授与品をヒントに、日常的に使えて自分のことを知るきっかけになるようなアイテムを展開しました。
アイテムの造形は本来の授与品の形から離れないように気をつけました。リソグラフを使用し、印刷時に生じるズレや荒さ、蛍光の明るい雰囲気などを古くからある授与品の姿と合わせることで、古くからの馴染み深さを損なうことなく現代の生活でも使いやすいデザインを目指しました。


おまもりメモ
健康守りや家庭円満守り、恋愛守りなどお守りには様々な種類があります。その目的に沿った願がかけられているお守りは、私たちが普段送り合う手紙のような、相手を思う気持ちでも同じように力がこもるのではないでしょうか。このおまもりメモは相手への気持ちを御守りの形にのせて渡すことは唯一無二の願掛けになるのではという考えから生まれたアイテムです。

おみくじカレンダー
おみくじは通常引いて大吉や小吉についてを知ることになりますが、このおみくじでは1日の最後に、今日を振り返った自分自身が大吉や小吉を決め、日付とともに書き込んでノートやスケジュール帳に貼るというアイテムです。
どんな日でどんな気分だったのか、それは自分にとってどれだけ大きい出来事だったのかを記録することは、自分と向き合う手段の一つではないでしょうか。


御朱印帳
御朱印帳は神社の朱印を集めるための蛇腹状の本です。最近では多種多様な御朱印帳が販売されていることや、おみくじを記念に貼り付けるおみくじ帳が登場していることを踏まえ、御朱印帳として朱印を頂くも良し、おみくじを集めるも良し、ノートとして日常使いするも良しの、自由に使えるようなデザインの御朱印帳を三種類制作しました。




かざり絵馬
部屋の壁にかけても違和感のない、かざりとしても楽しめる絵馬を制作しました。
絵馬も御朱印帳やお守り同様、昨今では様々なデザインのものが増えています。惟の絵馬は神鏡の形である円形をベースに、吊り紐を編み込むように取り付けました。
この絵馬に書くことは、神社で書くような人生規模の大きな目標でも、生活習慣に対する小さな目標でも構いません。自分との約束を忘れないように、書いたものを吊るしていつでも思い出すことがこのアイテムのねらいです。