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田中琉聖

渋谷センター街という多くの人種、要素が混在し合う環境の中で、どのグループにも属さない、ある意味、多用途的な空間をイメージしたいと考えました。
動きや情報量の多い、この立地の特徴を建物の内部空間に取り入れることを試みています。

動きや情報量の多さをストレートに取り込むのではなく、縦方向と横方向のフィルターを構成し、それによって抽出された要素を空間内に取り込みました。

縦方向のフィルターは地名にもある、過去に存在していた宇田川という川の要素で構成します。
水を用いて巨大なトップライトの上にプールを作り出し、この中に空間内部に設置されたスピーカーとペアリングした、小さいスピーカーを配置しその振動によって波紋をつくり出します。
敷地周辺の建物に設置された明るすぎる広告などのマイナスの要素を、音によって生み出される波紋というフィルターによって空間内部に色彩という要素のみを抽出します。

内部空間はユニットのずれとスキップフロアを配置したことによって、水の波紋による陰影の有無によって空間にコントラストを生み出します。滞在できる空間を多くするために、できるだけ吹き抜け部分を大きくとり、3 つのユニットの中に 4 つのスキップフロアを配置しました。
階段部分には FRP グレーチングの上にポリカーボネートを乗せた素材とすることで、光の透過性をもたらしています。

横方向のフィルターは、情報量の多い外部空間が内部空間に影響を与えるのを避けるために凹凸のあるRCの壁面とパンチングメタルによって構成します。
壁の凹凸とパンチングメタルが壁面にランダムな距離感を作り出し、周囲の環境に対するフィルターの役割を担います。

建築は、部屋が多いほど、要素が多いほど、逆に多様性を制限する空間になると感じています。
渋谷センター街という敷地には心理的にネガティブな要素が多くあるように感じるが、縦横のフィルターを通して要素を抽出して環境を純化し、用途を限定しない感じる空間をデザインしようと試みました。

田中琉聖

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