日々の衝動写真を集めたグラフィックブック
撮ることは私のルーティーンである。この10年ほどは年間3,000枚〜6,000枚程、強烈に惹きつけるシチュエーションに出くわしてはシャッターを切り、IMPULSE(=衝動)の自己処理を続けている。その日々撮り積もる写真データの山からランダムにピックアップし、グラフィックブックを制作した。読み手それぞれの感じ方ができ、創造性を拡げる本にしたいと考え、写真へ意味を持たせることや羅列から何らかの傾向を読み取ることは意識せず、あくまで感覚的な制作にこだわった。一部、撮影時の視線がどこを向いているかを示す仕掛けを用意し、私の行動を傍で観察する擬似的視点を添えている。印刷には主にリソグラフを採用し、1枚ずつ色分解、製版、刷り上げることで各写真の衝動をあぶり出す実験を繰り返した。仕上がったものは実に不規則で不調和な塊だが、データフォルダ上では感じられない熱を帯びていた。