授業課題

工藤達也

美の再認識

誰しも一度は見たことがある伝統工芸品の竹細工。身近なモノだと竹籠から始まり、近年ではアートとしての可能性を追求して竹細工をモチーフとした作品まで多種多様に存在する。これらの「美」を構成している要素を切り出し、今までとは異なる視点で竹細工を再認識できるグラフィックポスターを制作した。

1枚目はあえて平面的にすることで、幾何学的なラインが折り重なる美を表現。対称に立体的な表現を用いた2枚目は竹細工におけるアートととしての可能性を有機的なラインで見せた。それぞれが異なる表現でありつつも、規則性のあるグラフィックで2枚一組としてのバランスを心がけた。



『かろうじて、文字』

『かろうじて、文字』

ヒトの”読む”行為を、エラー文字を通して着目する

私たちは、使用言語の特性上様々なモノを読んでしまう。文字を読むことから始まり、間を読み、意図を読み、空気を読む。その習性からか、エラーのある文字を読もうとする。私たちはどこまで読むことが可能なのか、あるいは、どこまで曖昧に読んでいるのか。
文字に対する判読の境界線と、エラー文字の面白さを紹介するためにこの本を制作した。

内容から本文に至るまで、様々に散りばめられたエラー文字たち

日常的に潜むエラーを紹介し、それらを踏まえ私たち自身で展開

エラー文字の具体例をあげ、それらを踏まえた上で制作したエラー文字の展開も紹介する。各文字は可読性より形態を優先したデザインに落とし込み、解説文もそれに伴いエラーを与えることで、読む面白さを再認識させるような作りとなっている。一見真面目だが、その実、結構不真面目だったり。気付いたり気付かなかったり。この本そのものがエラーなのかもしれない。

版画工房での表紙制作風景
袖の文章における文字の欠損、潰れ

版ズレを与える

表紙印刷にはリトグラフを用いた。いくつもの用紙で検討を行い、重ね刷りの回数調整まで細部にこだわることで、印刷工程における版ズレというエラーを与えた。銀色のインクでありながらも主張しすぎない発色は、真面目を装った不真面目なこの本を表すかのような佇まいを形成した。改めて、最善を尽くしてくださった版画工房の方へ敬意を表したい。

著者・書体デザイン:齋藤大知
装丁・構成    :工藤達也

-editorial
参考文献
倉田敬子. J-STAGE 視点 読むという行為 2012年 55巻 9号 p,681-683
吉田光演. Manuscript 「知の根源を問う」ことばの意味とはなにか ― 象徴記号としての言語 p,1-3

工藤達也
東京都生まれ。
大学卒業後、社会人を経て桑沢デザイン研究所入学

Image View

List View

Students
Archive

Image View

List View