授業課題

田中直美

nara-bene
野原のようなフラワーベース

「捨てなさい、葉っぱなんて」これはある母親が5歳くらいの我が子に発っした言葉です。今回私はこの言葉をきっかけに、都市で生活する人々と植物の関係に着目してみました。
例えばこの子どもが葉を手にするには大人の許可というハードルを超えなければなりません。都市の緑の多くは鑑賞するという視覚的要素が多く、触れることは歓迎されていません。気兼ねなく手にできるものは落ち葉くらいです。都市環境では、植物と日常的に触れ合う生活は特別なことになっています。このような現状の中、意識的に足元に目を向けてみると思いがけなく様々な草花がたくましく存在していることに気づきます。そこで、日常的に身近な植物に注目したくなるようなプロダクトを提案することで「植物を自分の手て感じる」という行為を都市生活に取り入れられるのではないかと考えました。植物から感じる生命の秩序や仕組み、季節感、儚さ、それらをさりげなく身近に感じながら生活することが、これからの都市の豊かさだと考えました。

円形の器に傾斜した面とリズムある曲線が配置され、
多様な植物の形が緩やかなまとまりとなり流れを作り出します。
細長く空いている部分には草花の茎を挿し、台座には水を
入れて使用します。

何気に手にした一枚の葉に潜んでいる美しさを際立たせ、実感してもらうための器を目指しました。どのようなフォをムがふさわしいか・・・「のせる、並べる」というシンプルな動作で植物を手で直に触れてもらいつつ、フラワーベースとしての機能を兼ね備え、都市生活でのモダンな雰囲気を醸し出す形状を目指しました。色を黒にすることで、枝葉一本、一輪の花であっても美しさは際立ち連なる曲線で広がる野原となり、心が野原に解き放たれるイメーで制作しました。



coloritura
並行読み読者のための
少し伸びて少し透けるスマートなブックカバー

複数の本を並行読みする読者にとって、ブックカバーで表紙が見えな くなってしまうのはちょっとしたストレスです。そして、カバーを 外したり本を開かなくてもタイトルが一瞬でわかるのはちょっと嬉し い。何より表紙は本にとって大切な顔です。本を傷や汚れから守りつつ、本の顔である表紙を隠したりせず、そこから伝わ ってくるものを感じたいものです。とは言え、表紙があからさまに見 えてしまうのも通勤電車などで気になります。ほしいのは自分だけ見える 程度の透け感のあるブックカバー。そこで、表紙が少し透けて見え て、さらに文庫版と新書版のちょっとしたサイズの違いにもスムーズに調整できるブックカバー を提案することにしました。PPフィルムを使いすっきりとしたスマ ートなフォルムは、通勤時の読書タイムにも欠かせないちょっと嬉し いアイテムです。2枚のカバーの間にはしおりやメガネも挟むことができます。

電子書籍化が進み、私たち読者はデジタル本か紙本を常に選択しています。紙の原料となる森林を守るためのペー パーレス化を図りながらも、「表紙を眺め、本を開きページをめくり、読了したら自分の手で閉じてもう一 度表紙を見る」という一連の体験を提供してくれる紙の本も私たちにとって価値のあることだと考えました。

2枚の透明カラーフィルムを使うことで程よい透け感。うっすら表紙が目視できます。
文庫版、新書版に対応可能。



daily thermo
新しい日常に新しいカタチ
リード式電子体温計

新しい日常に提案する毎日使う電子体温計です。従来の電子体温計の測定中のズレやエラーでの測り直しによる手間、脇に差し込む時のひんやり感や無理な体勢などの課題に取り組みました。非接触型体温計では難しい「体の内部に近い温度を測る」という電子体温計ならではの利点。それをもっと日常で使いこなすためにフォルムの形、色、素材、動きに着目した新しいパーソナル電子体温計です。

田中直美
山梨県生まれ。
2018年桑沢デザイン研究所附帯教育基礎造形専攻入学
2019年桑沢デザイン研究所デザイン専攻科プロダクトデザインコース入学
2021年桑沢デザイン研究所デザイン専攻科プロダクトデザインコース卒業

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