マウンドに白煙

重国彩乃

あらすじ

プロ野球選手を目指す少年・鬼崎太助は、同じシニアチームに所属するエースの荒野すばるを誘い、強豪・蜂谷学園野球部へ進学する。精鋭揃いの先輩たちがいる中、二人は入部早々監督の目に留まる。鬼崎は二塁手レギュラー、荒野もクローザーとしてベンチ入りを果たした。夏の県大会決勝、同点で迎えた8回から、三年生エースに代わる二番手としてマウンドに上がった荒野。この回は三者凡退に抑えるも、9回1死でボークをとられてしまう。これによりペースが乱れ、続く打者に決勝点となるツーランホームランを打たれる。チームはサヨナラ負け。荒野は「自分が打たれたせいで負けた」と、二塁の守備位置から全てを見ていた鬼崎は「自分が荒野に声をかけに行くべきだった」と、二人して三年生の夏を終わらせたのは自分だと悔やむ。二人で歩く帰り道。自分が活躍することばかりで、チームとして勝つことを意識してこなかったと思い返す。二人は、自分たちが引退する前に、蜂学野球部を「全員で勝つチーム」に変え、最後の夏は笑って終わることを決意するのだった……。

コンセプト

高校野球を題材としたストーリーを構想し、それに合わせて装丁画を描き、小説の形にデザインしました。
タイトルの「マウンドに白煙」は、投手が手先の滑り止めを目的として使用する「ロジンバッグ」から出る煙のことを指しています。主人公の一人・荒野すばるは、ピンチになるとこのロジンバッグを触る癖があり、良くない流れの試合の時は、マウンド上で荒野が纏う白煙の量も増えます。もう一人の主人公・鬼崎太助の守備位置である二遊間は、投手の背中がよく見えるので、ロジンバッグの煙の量で荒野のコンディションを把握できるようになっていきます。
 装丁画は、それぞれ一年県大会決勝→二年練習風景→三年下校風景→三年最終試合→プロ入り初対戦(二枚)を想定して描きました。グラウンドや試合の様子をしっかり描きたかったので、絵のサイズを横長にして、ブックデザインも表1と表4が繋がるようにしました。

重国彩乃
1999年生まれ、兵庫県高砂市出身。
明石高校美術科卒業後、桑沢デザイン研究所に進学。
主にエディトリアルデザイン、イラストレーション、アニメーションなどを手掛ける。高校野球観戦が趣味。

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