授業課題

宮澤健太朗

VANDOCK バンライフの弱点を克服するプロダクト

日本でバンライフを実現しやすくするべき理由

 そもそも「バンライフ」とは、バンに生活の拠点を置く生活スタイルのこと。アメリカから始まったこの文化は、場所にとらわれない身軽さ・自由さが人気を呼び、日本でも実践しようとする人が増えています。この「バンライフ」は固定観念に囚われた生活に疑問を投げかけたり、ルーティーン化する日々を破ることができるものであるので、日本に広める価値のある生活の手段だと考えます。
 リモートワークに普及によってバンライフを実践するための条件が揃いつつある一方、日本にはバンライフを実践する妨げになってしまう要素があります。今回は、バンライフのそういった弱点を克服するプロダクトを企画制作しました。

 バンライフで大変な思いをするのは生活で出たごみや水の処理。日本で生活排水を捨てられる場所は自分の居住地か、キャンプ場のダンプステーションしかありません。ゴミについても同様。バンに生活道具を詰め込んで旅することができても、旅先でゴミの処分ができないのであればとても不便ですよね。そこで、バンライフでのごみと排水の処分ができるプロダクトを企画しました。

バンライフの水やごみの処理に関する問題を解決する

 この問題を解決するに考えられたのは2通り「1.長期間ごみ・排水をバン内に貯められるプロダクトを考案」「2.出先でごみ、排水を捨てられるサービスを展開」です。所定の住所を持たずに無期限でバンライフを送っている人、そうでなくても数ヶ月単位でバンライフを送る人の需要を考え、今回は「2.出先でごみ、排水を捨てられるプロダクト(サービス)を展開」することとしました。
 問題を解決をするには、このプロダクトを全国に点在させる必要があります。その場所として、郊外のガソリンスタンドを想定しました。日本のガソリンスタンドの数は年々減少し、30年前の半数以下となっています。多くのガソリンスタンドが閉店・縮小に追い込まれる一方、ガソリンスタンドの撤去には地下に埋め込まれたタンクの処理はじめ多額の費用がかかります。オーナーとしては居抜きで利用したいもの。そこで数が減った給油機をこのプロダクトに置き換えて稼働率を上げたり、居抜きで設置することでガソリンスタンドを活用できます。

プロダクトは給油機の代替として設置することを想定したスタイリング。「給水器」「排水溝」「EV充電可能な電源」を備えます。「ごみ処理」については衛生面を考慮し、ハードウェアに処理のための機構を設けません。

【給水】
 給水ハンドルはタンクやボトルに上から差し込む動きを想定してな筒状に。給水口は握って小指側を向くかたちです。3m引き伸ばすことができます。給水口に清潔なイメージを持たせるために、机の高さより高い位置に設置。また、給水口の受け皿を角度をもたせて高く設置することで、水漏れがあっても飛び跳ねないようになっています。
【排水】
 排水の位置は最も低い位置に。
【電源】
 電源は背面に設置。給水ハンドルと同様に引き伸ばせる。手にしやすいテーブル程度の高さかつ、手に取りやすく置きやすいよう角度をつけて配置。

 設置箇所の確認と利用予約はスマートフォン上から行えます。DOCKごとに、「給排水・電源利用」「ゴミ捨て」「車中泊」等が利用できるかの案内を確認でき、利用料の支払いまで全ての工程を済ませることができます。無人での設置や通常の有人ガソリンスタンドとの併用等、様々な設置状況を想定しており、オーナーは設置箇所ごとに「有人管理でゴミ処理ができるからDOCKに『ゴミ捨て』機能を付加」「トイレ設備を提供できるので『トイレ利用』機能を付加」する等、DOCKでできることを設定できます。
 プロダクトを中心にバンライフに必要な設備を提供することで、バンライファーが集まるアイコンとしても機能することを期待しています。

宮澤健太朗
長野県生まれ。
2021年桑沢デザイン研究所プロダクトデザイン専攻卒業。

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