1.「普通」とは何なのだろうか。
社会では、マジョリティが「普通」とされ、
マイノリティが排斥されることが多々あるように思う。きっとそれは、人々の
中で共通する規範が群れを成し、大きな力となった結果だ。それっておか
しくないか? 横行している「普通」や「当たり前」はメタ的な視点で見た際、
意外とイビツなのではないか。
この作品では、すべての人の「当たり前」に疑問を投げかける。内包する「普
通」がいかに、無意識下で、様々な側面の規範となる型を生み出すか。
それが、自身や他者の本当の姿をどれだけ見えなくしているか。
ひとりひとり、多様な価値観がある。同じ人間はいない。
誰しもが他者を尊重し、誰の価値観も頭ごなしに否定されないでほしい。
よりフラットで、誰もが生きやすい社会になってほしい。
本作品には、そんな私の欲望を込めた。
2. いろんな角度から物事を捉えたら、見たことのない扉が開けるのかもしれない。
今回の作品を制作するにあたり、最初に行ったのは自身で論文を書くことだった。内容を要約すると、日本において女性特有の不利益が発生することが多々あり、それは個人の判断で内面化されがちだということ。私はこの問題に対し、自覚的視点調整と社会の仕組みの是正が必要だと感じている。
内容が日本特有の文化に焦点を当てているため、あらゆる言語の人に伝わるよう4カ国語で構成、両開きで製本した。同時に、中央部分を蛇腹で実装。カラーフィルムを重ねることで色眼鏡を外す暗喩をした。また、袋とじの内側に各国の国旗の含まれる色を印刷したのは、常識の相違が国ごとに存在するメタファーである。表紙は白で統一し、理想的な、真っさらな視点を表現している。
3. 自分で自分を彩ろう。
肌や身長、顔立ちなどは生まれ持った要素から変えることは難しい。一方で、化粧や洋服といった身につけるものは、自分で自分で選択できる。このことから、メイクやファッションで表現するものは自分自身の内面そのものだと考えた。一方、3Dプリンターは出力する際、選んだ強度によって内部構造が異なる。これが人間ひとりひとりの違いと繋げられるのではないかと考えた。
内部構造が異なる中性的なふたりの架空の人物を3Dプリンターで出力し、ランダムに切断。その面に色付けすることで、内面を彩り表現するメイクのメタファーをした。



