「視線は傾いている。—存在の編成」

おがわゆきえ

道玄坂の屋上に生える視線の装置

日常的な動作。するとドアが開く、窓が開く。奥の空間に入る、台とする、寄りかかる、座る。振動が伝わる。
いつもの動き。下を見て空が見える、ガラスを見て違う場所のものが見える、どこかの人がいる。声が聞こえる。

普段見ないモノ、人と普段行かない場所。
どちらもずっとそこにありながら、ほとんど意識されない。
建物の中でない、少しの間の滞在空間。



建具は人が扱い、空間を連結・分断する。
屋上に配置された建具の反射により風景を切り取り、動かし、敷地内・地上・隣接するビルから、可動する匿名性を纏うモノを見る。消費構造から抜け出し、道玄坂の中で同様な日常が進む中から逸脱したいくつもの時間を追う。

都市の景色をよく見てみる。
今ある建築そのものを基準とする。
新たな情報を巡らせる建築ではなく、既存の屋上に生え、能動的な動きが自然に発生する空間。

敷地内のビルの建具の規格を幅、角度、高さをコントロールし屋上に配置していく。視線が交差し、見る・見られる関係が常に揺らぎ続ける。個は固定されず、関係の中で変動する。

空も人も建物も広告も、切り取ってズレて屋上まで入り込んでくる。さっき見たモノを思い出したり、同じことをする別の人が見えたり、さっき食べた店が見えたり。
数秒前に通った車のように一瞬だけ映るものやずっとそこにあるもの。
配管と室外機の隙間に見えるガラスと光沢が数秒前の自分を映す。流れる時を過ごす。
自分と他者は間接的に影響し合い、その関係の中で存在が立ち上がる。

おがわゆきえ
2004年生まれ。神奈川県立鎌倉高等学校を卒業後、桑沢デザイン研究所へ入学。
ビビットカラーな靴下が9割。好きなものは風景と物語。

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