蒸発が描くドローイング
机の上に放置していたパレット上の絵の具が、量が減るにつれて形を変え、はじめは太陽のような形から、やがて細胞や手の皺のような複雑な模様を残して蒸発した。
本作では、蒸発が生む痕跡を「物質の書」と捉え、その偶然性や時間の経過を、視覚表現として捉え直すことを試みた。実験では、液体とその器の種類を変えながら、最大100時間として蒸発の観察と記録を行った。
器の深さは時間の層を生み、水分は紙のたゆみを生み、さらに液体と粒子の運動が模様を形成する。こうして、立体的な構造を持つ平面ポスターとして立ち上がる。
そこには、合理性のなさから排除される「無駄な時間」の結晶が刻まれている。



