読むことのかたち『波』のブックデザイン
ヴァージニア・ウルフの小説『波』は、六人の人物による独白が重なりながら進む、独特な構造をもつ作品である。本作では、この小説を「読む視点の変化」という観点から捉え直し、ブックデザインとして再構築した。
まず、小説全体を読むための通常の完全版と、同じテキストを異なる組版で表現した変形版の完全版の二冊を制作した。さらにそこから物語を人物ごとの視点へと分解し、それぞれの人物を一冊の本として構成した七冊を制作している。
登場人物の距離感や内面のあり方を、文字の配置やページ構成、造本の方法によって表現した。九冊の本を行き来しながら読むことで、同じ物語が異なる視点から立ち上がり、『波』という小説の構造そのものを体験できるブックデザインを試みている。



