走る喜びをこれからも、新しいドライバーズカーのかたち

松岡英喜

クルマを所有すること、操ることの楽しさを突き詰めたデザイン

近年自動運転技術の進歩やモビリティそのものの進化、価値観の変化によってクルマが単なる移動手段としての見方が強くなってきました。そのような流れの中でカーデザインはかつての造形美、操る楽しさを体現したものからモノや人を運ぶ「箱」になっていっていると感じています。もちろんそのような役割をクルマが受け持ち、それに伴ったデザインが生まれていくのは当然のことだと考えています。しかしクルマは運転を心の底から楽しみ、所有することの喜びを実感させるモノでもあります。これからの時代クルマを動かす力やエネルギー源は変わっていきますが、「運転する楽しみ」「所有する喜び」は変わらないと考えています。そんなクルマの変わらない良さを形にしたのがこのATMOSPHEREです。

紙にスケッチを描くことの大切さ

私は桑沢にいた間アイデアスケッチは絶対に紙に描いてきました。今の時代デジタルスケッチの方が場所を取らないことやスケッチそのものの管理の容易さ、一覧性に優れているのは確かなのですが手でペンを握って紙の上にどんどんスケッチを描いていく方が出てきたアイデアを手の動きから再確認、いいモノがスッと入ってくると感じています。また今まで生まれてきた優れたデザインのクルマなどを手描きのスケッチで描くと不思議と優れたポイントがどんどん入ってくる感じがします。とても感覚的でざっくりしたモノなのですがこのような体験がデザインをより奥深いものにしてくれると信じこの三年間手描きでのスケッチにこだわりました。

造形と構造へのこだわり

このATMOSPHEREではクルマ全体の造形や構造に特にこだわり、力を入れてデザインしました。止まっていても力強く走っている様子が想像できるように大きな曲線や抑揚のあるラインを使用し、見た人がクルマってかっこいい、楽しそうと思える造形、ステアリング機構などは実現可能な構造を模索し可能なかぎり再現しました。そしてこのクルマを見てまだクルマには夢や楽しみが詰まっていること、人々を楽しませるものであるということを伝えられると嬉しいです。

松岡英喜
東京都生まれ
2018年東京都立東久留米総合高校卒業
2021年桑沢デザイン研究所昼間部プロダクトデザイン専攻卒業

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