夏目漱石のタイムライン
夏目漱石のタイムライン 渡辺 さやか
夏目漱石のタイムライン
「もし夏目漱石の時代に、タイムラインのUI(組み方)が存在していたら?」
そんな発想から、当時の技術でも再現可能な形態を模索し、本としての機能を持つ新しいプロダクトを設計した。
明治時代当時、新聞に連載されていた『それから』は、現代でSNSをスクロールするように読まれていたはず——
その感覚を追体験できるよう、紙の上に時間の流れを再構築した。
洋風の古い鍵を回すと、ゆっくりと文字が流れ出す。
電子機器によるスクロールの動きについてよくこう考える。
「指先を動かすことを意識せずとも読み進めることができるなんて、素晴らしいUXだ」と。
ページを捲る動作よりもシームレスな動きにより、文字を読むことに集中できるように思う。
そして旧twitter時代のアイデンティティといえる、140文字程度ごとに文章を区切るという技がまた、おそろしく読みやすい。
人類の歴史に残る素晴らしい発明だと思う。
夏目漱石という素晴らしい作家の文章を現代流の組み方で再編成することにより、後世にわたってどうか末長く受け継がれますようにとの願いを込めた。
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