Re: STORY

長谷川真海

新しいエンターテインメント

私は入学前から趣味でアイドルのコンサートに行っていました。その時にコンサートでの一体感や会場の一体感に感動し、自分もこの空間を作ることに関わりたいと思い、ただひたすらに空間デザインの勉強を桑沢でしてきました。
丁度この卒制に取り掛かり始めた頃の話です。日本にも新型コロナウイルスがやってきました。楽しみにしていた年に一度のコンサートがなくなりました。それでもまたすぐにコンサートは始まるだろうと、希望的な観測ばかりして、私が大好きだったグループのコンサートのセットを作ることを目標にこの卒制に取り掛かりました。ですがすぐに世界の状況はもとに戻りませんでした。またそのコンサートセットを提案したいと思っていたグループのメンバー脱退などもあり、予定していた形でのコンサートは実現不可能となってしまいました。
この先の見えない状況の中で、デザイナーとして、ファンとして、今までと違った形でエンターテインメントを提供できないかと思い考えたのが、音楽を体験する空間というものです。楽曲のイメージを空間に落とし込み、その中を実際に歩くことでこんな時代になってしまっても体で空間を体感できる。アーティストとファンの新たな方法での関わりができる。そう考えました。

私の思うコンサート

オンラインや画面越しに感じることのできない「空間」を作るにあたり、擬似コンサート体験をイメージしました。まずセットリストという曲順なる演出が大きく変わるブースをそれに合わせた演出も仮定し制作しました。演出の大きく変化する箇所を6つ作りその演出箇所から曲を抜粋しました。例えば、盛り上げ場面→浮遊感のある場面→切ない曲調の場面→…このように演出のイメージを大きく変化させました。音楽を空間に落とし込むという作業は正直、人によって曲に対する印象が変わったりするのでとても難しい作業でした。
今回私が卒制で行った制作は、完全に好きなことに本気で関わるということでしたが、好きこそものの上手になれという言葉があるように自分が本当に好きでやりたかったことだから一年間やり続けられたものだろうなと思います。とにかくファンとしてはコロナの影響でコンサートが行えずもどかしくて仕方ない、この状況下でオンラインでは感じられないあの臨場感をどうしたら感じられるのだろうと考えた末にでた新しいエンターテインメントの可能性です。

NEWS(Johnny’s Entertainment) 『STORY』Johnny’s Entertainment Record,2020

長谷川真海
1999年生まれ。
東京都出身。

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