奇書の世界に入る
三大奇書の一つとも称される本書は、著者・夢野久作によって10年以上の歳月を経て記されたと言われており、言うまでもなく名作である。ただし、奇書と言われているだけあり、気持ちよく読解するには忍耐力と物語に感情移入をしないこと、仏教文化の基礎的な知識などが必要とされ、やや難解である。故によく「読めば精神に異常をきたす」等、ある種脅しのような文句で紹介され、書評も散々な本書をシーンに合わせた多様なタイポグラフィ表現と本文から飛び出した付帯物を用いてわかりやすく、魅力的に見せる試みを果たした。