morm

坂口ゆず

布が揺れた時に生まれるようなゆるやかな形。
それが一瞬でなくならずに、形になって存在してほしいという想いから制作を始めた。

手芸用のモールは、カラフルでやわらかい触り心地を持ちつつ、中の針金で曲げた時の形状を記憶することができる。これを編むことで色の豊かなテキスタイルが生まれ、ものや空間を作ることができるのではないかと考えた。

そこから制作したものが「 morm 」
mormはモールを編むことで形成される- form -という意味である。

長さ30cmのモールの端をシリコンの補修剤でコーティングし、針金が触れないように加工した。それをフェンスの構造を参考にした編み方で編んでいった。
用途によって網目の大きさを細かく変えて編んでいて、人が入れるような大きなものは自立させるために上から下へいくにつれて粗密を作っている。これによって上部の重さが減り、床に置いて自立することができている。


形のあるものやひとはmormに包まれると、本来の輪郭がぼやけた不思議な存在に変化する。それは空間の中で曖昧な境界線をつくり、新たにやわらかい空間を生み出す効果がある。

触れたり動かすとふにゃっと変形し、そのゆるやかな形で存在し続けることが大きな特徴である。

また、目には見えない空気に形を与えて、ものや空間をつくり出す。
ひと と ひと、ひと と ものとの距離を強く意識させられる現在では、mormが存在することで距離となる空間を目に見える形で生み出している。

その他にも、やわらかく自在に変形した形状を保てることを生かして、ファッションやインテリアなど幅広い用途に素材として使用することができる。

mormは世の中のさまざまな場面に存在し、ひとやものと空気の間にやわらかい関係性を築いている。

0226-0228 展示
坂口ゆず
1999年10月24日生まれ。
埼玉県出身。
2021年桑沢デザイン研究所卒業。

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