kuchiru

河野由紀子

kuchiru - 朽 -

歳を重ねた人が深い知識を持っていたり、廃墟は不思議な魅力を持っている。古着やヴィンテージの物に味があり好まれ、愛着を持ってボロボロになるまで使った靴やノートは努力の証とさえなる。このように年月が経ち古くなることは悪いことでは無い。朽ちていく事は悪いことでは無いという意味を込めて作品を作った。

制作過程

コンセプト
ヒビを色で誇張し立体に落とし込む事。


表面を明るい陽の光があたったようなクリーム色に、ヒビのラインを際立たせる赤の蛍光色、表面とは対照的にヒビの奥深さをイメージした黒を使った。

機能
二枚の板で表現することから、その小口に手を掛け、引き出せる事に気づき収納にした。

素材
M D Fボード、木の質感を塗装で消したかったので表面が加工されツルツルとしている種類の木材を選んだ。塗装の際もスプレーを使いローラーやハケで塗るよりも表面に凹凸を少なくするよう工夫した。

作業工程
直方体を作りその上にあらかじめ塗装しひびの形に切った化粧板をボンドで接着した。

未来
店舗什器としての大きさを想定した立体だったが、サイズを展開して美術館やアトリエなど個性的な作品が似合う場の収納としても利用して欲しい。

エスキースの重要性

この作品を作る上で身近な劣化している物達をまずトレースした。その中でも特に美しかった何かが割れる様子であるひびに注目し模様をどのように表現すれば良いか考えた。銅板に化学反応を起こす、シリコンや石膏で塗装する、糸,紐,針金などで板を巻くなど色々な表現を検討した。最終的に二枚の板をシンプルにスプレーで塗装する表現にたどり着いた。
一つアイディアを出しただけでは良いものは作れず、様々な人の意見、自分のリサーチ、エスキースを重ねて良いものは出来あがるという事を桑沢生活の三年間で強く学んだ。時間がかかり手間のかかる事だが逃げ出さず頑張っていきたい。

河野由紀子
三法留めの技術や様々な素材、ビス、木工用の道具に初めて触れ、楽しく学ぶことの多い卒業制作でした。

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