身体は告ぐ

和田安加里

「身体は告ぐ」2021 KUWASAWA FASHION SHOW
※後ろ姿がジオメトリックでとても綺麗なので、是非動画でご覧ください。

あなたはカラダを知っているか

私は小さい頃から、自分の体について不満を抱いていました。
身体の造形にではなく、女としての体でしか過ごせない、身体の価値にという事にです。
2020年、コロナウイルスの影響により、私たちは自粛生活を余儀なくされました。
桑沢での生活もほとんどがリモート授業で行われ、家で過ごす時間が長くなり、身体と向き合う時間が増えました。春休み中に行ったロンドンでも、アジア人の女である私に「コロナ!」と叫ぶ人がいました。そして「Black lives matter運動」がニュースに上がり、人の体の社会価値の圧迫感を強く感じました。
どうして同じ人間であるのに、こんなにも生きづらいのでしょうか。
このデザインのコンセプトには、人体の進化の過程で得られた構造の美しさ、そして社会の中での身体の生き辛さが根底にあります。
この作品は、身体の外側の面だけでなく、中身から溢れ出る力強いものを可視化させるデザインです。 筋肉の構造を意識したラインのシルエットに、血や骨から連想したスポーティな素材を何種類も組み合わせました。
私たちは、同じ様に赤い血を持ち、骨で支えられ、死ねば肉塊になり、この地球で生きている。

デザイン画・ラフ案

内皮・外皮のグラデーション

コレクション全体で流れを感じられる様に、1体目から5体目にかけて段々と外皮に近づいて行く様に意識しています。
1体目メインとなる中央の赤いボディスーツは胴体の部分から流れ出る様な赤と白を。
2体目中央左は1体目のデザインを意識しながら、胴から脚に向かってよりスポーティに、白をふんだんに使ったデザインに。
3体目左端は脚にスポットを当てるイメージで、外皮である肌色が見え始めるように。
4体目中央右は四肢を目立たせるために、胴体部分はヌーディに。
要である5体目は、外皮の肌色を中心に一番エレガントに見えるデザインを意識。

イメージボード

「BODDY FASHION」

デザインのラフ案では、何枚も筋肉の構造を意識した身体のスケッチや、トワルの立体裁断を繰り返し描き出しました。モデルの体に合わせた美しいラインとは何か、探すためです。伸縮性の高いニット素材を立体裁断しては、パターンに反映させていきました。
何度もできるシワや、思う様にいかない衣装のドレープ感など、手直しを繰り返して完成系に近づけていきました。
イメージボードには、実際に使った生地が身体の内側から流れ出すイメージをビジュアルとして一枚の平面に表現しています。伸縮性のあるスポーツ素材を中心に、血液(ヘモグロビン)をイメージした凸凹したテクスチャーや、動脈・静脈・髪色・骨から連想した発色の良い生地を選び、合わせて13種類の生地を使用しています。

「身体は告ぐ」

和田安加里
山口県 下関出身。
2021年桑沢デザイン卒業
6年間水彩・油絵などの平面画を学ぶ。
映画「君の膵臓をたべたい」の主人公 : 山内桜良の文字素材を担当。

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