皮膚一重

小竹杏奈

ページを皮膚に見立てた書籍

恥ずかしながら、私には自分の皮膚をむしる癖があります。にきびは手当たり次第に潰し、かさぶたは片っ端からはがし、唇の皮は延々と剥き続けてしまう。表層のノイズを取り除いて深層にあるものを露わにすることで、快感が得られるのです。
これは書籍のページをめくることにも共通していると考えます。そして、これこそが私が「紙の書籍」と「皮膚をむしる」ことに執着していた理由ではないかとも思っています。
そんなあまりにも個人的な感覚から着想を得て、ページを皮膚に見立てた書籍を3冊制作しました。「にきび」「吹出物」「刺青」といった描写を視覚的・触覚的に紙の上に表現し「皮膚の本」として形にすることで、私の皮膚をむしるという行為やその原因となるストレスを昇華させようと試みました。

芥川龍之介(1915)『羅生門』青空文庫https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/127_15260.html
太宰治(1939)『皮膚と心』青空文庫https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/267_34632.html
谷崎潤一郎(1910)『刺青』青空文庫https://www.aozora.gr.jp/cards/001383/files/56641_59496.html

小竹杏奈
2001年 東京都生まれ
2020年 東京都立工芸高等学校デザイン科 卒業
2023年 桑沢デザイン研究所 総合デザイン科 VD専攻 卒業
実は、高校のときの卒業制作も日本の文豪に関係するグラフィック作品。

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