Essence 賢治が伝えた世界

谷川理香子

『Essence 賢治の伝えた世界』(衣服作品・2021) キャンパス・不織布

「豊かに生きる」とは、世界の本質に気付くこと。

卒業制作にあたって、自分自身の創作や価値観のルーツを見つめ直したいと思い、幼少期から敬愛している作家・宮沢賢治を題材に選んだ。
宮沢賢治の作品は、宇宙に散りばめられた「美」の本質を描いている。
身近な鉱物、草花、星空に美の本質を見出した賢治は、数々の童話作品や詩、俳句などにその美を書き残した。
私は、賢治のように自然世界の美に気がつき、そこに内包されている世界の本質について探求し続けることが豊かに生きるために必要なことであると考え、4体の衣服作品を制作した。
鉱物には、原子が幾何学的に配列されることで現れる「美」があること。
草花には、人や昆虫や鳥を魅了する「美(花)」を生み、遺伝子を運ばせる知性があること。
夜空の星々は、単なる散らばりではなく、互いに影響し引き合い輝き揺らぐ「美」であること。
この3つのテーマをもとに、キャンパス布と不織布を貼り合わせた生地を用い、造形表現を中心にした作品を制作した。

谷川理香子
東京都出身。
都立工芸高等学校グラフィックアーツ科を卒業、2018年桑沢デザイン研究所に入学。
当初はビジュアルデザイン専攻希望でしたが、1年生の時にFDの授業で人が纏う衣服を作ることの楽しさを知り、ファッションデザイン専攻に入りました。
ゼミの卒業制作では、衣服デザインの域を越えて、物事を深く考え、自分の哲学を見つけること、それを表現する方法を学ぶことができました。この経験を、これからの将来、どこに行っても活かしていきたいです。

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