











「豊かに生きる」とは、世界の本質に気付くこと。
卒業制作にあたって、自分自身の創作や価値観のルーツを見つめ直したいと思い、幼少期から敬愛している作家・宮沢賢治を題材に選んだ。
宮沢賢治の作品は、宇宙に散りばめられた「美」の本質を描いている。
身近な鉱物、草花、星空に美の本質を見出した賢治は、数々の童話作品や詩、俳句などにその美を書き残した。
私は、賢治のように自然世界の美に気がつき、そこに内包されている世界の本質について探求し続けることが豊かに生きるために必要なことであると考え、4体の衣服作品を制作した。
鉱物には、原子が幾何学的に配列されることで現れる「美」があること。
草花には、人や昆虫や鳥を魅了する「美(花)」を生み、遺伝子を運ばせる知性があること。
夜空の星々は、単なる散らばりではなく、互いに影響し引き合い輝き揺らぐ「美」であること。
この3つのテーマをもとに、キャンパス布と不織布を貼り合わせた生地を用い、造形表現を中心にした作品を制作した。