「鰐」フョードル・ドストエフスキー

松村ゆかる

呑みこまれる本

本作は、鰐に呑みこまれた男イワンとその友人を中心に、自己本位な人間たちが繰り広げる喜劇の事件である。社会への風刺とユーモアに溢れた言葉で構成されており、斜めの言語表現が人間の愚かさや面白さを引き立てている。
「第一に意外なのは、この鱷と云ふものは体の中がまるで空虚なのだ。」というイワンの言葉から、本自体を鰐の空洞な体内として表現した。
ぐるりと半透明の布に印字された物語を内側から読む人、外側から見ている人の関係性をイワンと友人に重ねている。

松村ゆかる

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