カクレ

フ チュン ユウ

経緯

現代人は、情報が過剰に溢れ、環境の変化も早く、多くの不安を抱えていると感じます。そして、精神的な不安は健康にも影響を及ぼし、病気になってしまうこともあります。もし、何か自分の不安を忘れられる方法や場所があったら、健康にもよいと考えました。
かつて子供の頃、テントや、秘密基地を作る遊びから、自分が守られているような、落ち着く感覚を思い出しました。
その安心感を再現するような、個人スペースを提案したいと思います。

モチーフ

現代の逆として、原始のことを考えることからはじめました。なぜ原始かというと、かつて人間が野外で生活していた時に、重要視していたのが隠れる場所の確保だったからです。
現代のような優れた電気設備もなく、安心するための手段として隠れる場所の確保をすることは生きるためでもありました。
設計段階では、一人で入れて、他者と目が合わない高さで、包まれるようなスペースについて考えました。
材質については、安心感のある手触りや、コストの面を検討し、紙の紐を採用しました。
ただ「隠れる」だけのスペースではなく、原始、野生のアイデアを意識し、途中で他の素材もスタディしながら、紙の紐を編むことで、獣の毛のような表現をデザインしました。

まとめ

現代建築の技術が進歩し、人間の住める土地が広くなり、人が生きられる場所が増えましたが、年々人間が本能的に求める”隠れる”ことが忘れてしまったように感じます。
なので、現代の人々が困難に直面した際の逃げ場がなく、ストレスや苦痛などが溜まった末に色んな障害として現れ、病気になってしまいます。
人の精神は”弱い”面があります。
このデザインは自分の”弱い”ところをあえて主張し、自分の弱いところを理解し肯定することで、強みに変えていけるようにと考えました。

何か大変なことがあっても、自分のことをそうやってリセットして、また頑張れるということを今回の作品で伝えたいと思います。

フ チュン ユウ
台湾出身。
2021年桑沢デザイン研究所卒業。

料理は好きです。

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