デバイスを使用しなくて済む、自然な社会を目指す都市計画。
ここ10年でデバイスは、ガラパゴス携帯、スマートフォン、ウェアラブルデバイスと目まぐるしい速度で変化し、どんどんと小型化しています。12年後の2035年でその役割は、個人が所有するものではなくなっているかもしれません。
情報伝達自然化計画【つばめ】は、スマートフォンの持つ移動体通信機能を公共インフラが担うことで、健康/広告形態/通信障害/交通の安全/身体格差などの課題を複合的に解決する都市計画です。
この計画の軸となるのは、“追従する指向性スピーカー”を持つ公共情報インフラ【街音機】。都市に街灯のように建てられた【街音機】が、指向性の音情報を耳に追従する形で届けるため、街を歩いているときでも、デバイスの使用なく情報取得が可能な都市を作り出します。
音響サービスの内容は、近年飛躍的な成長を見せるAIが、個人・環境に合わせた提案を行います。【街音機】に搭載されたカメラで取得した環境情報と、人の生体情報、蓄積されたビックデータなど、膨大な情報をAIが処理し、最適な情報を導き出します。
情報伝達自然化計画【つばめ】によって、スマートフォンに顔を俯かせる生活が無くなり、広告は適材適所で行われ、健康管理はリアルタイムの心に対応でき、通信障害があっても情報を受け取れ、見えないモビリティの危険が知らされ、視覚障害などの身体の格差が少ない社会が実現されます。
そして、【街音機】が普及した2035年のその先。人々の中で、聴覚の重要度が高まり始めるとき、都市設計における音環境の価値が見直され、人にとって自然な音環境に近づくでしょう。
この提案の中で、私が特に強い思いを込めたのが、「身体機能による社会の格差」と「心の豊かさを奪う都市の騒音」の解決です。資本主義によりコスパやマジョリティが重要視される中、この二つの問題を解決するものをどう社会に実装していくのかを考え一つの提案にまとめ上げました。









