ごあいさつ

渋谷の街にはふたたび人出が戻ってきました。
すでに物や情報が溢れ、刺激に取り囲まれた世界を行き来しながら、学生たちは「デザインする意味は何なのか」と改めて自分自身に問いつつ、観察し、考え、手を動かし続けています。
手を動かしているからこそ、徐々に自分が作るべきものが見えてくること、ありきたりの成果で満足せずに試行錯誤を続ければ、やがて自分でなければできないようなデザインが姿を現すことを、ひとりひとりが経験を通して学んでいるのです。
そのようなプロセスを経て生み出されたデザインが、これからの私たちの生活を支え、活気づけ、彩ってゆく様子を思わず想像したくなるような「卒業生作品展」になればと私たちは願っています。
デザインの多様性・多面性にふさわしく、今年も、昼間部は13の卒業制作ゼミナールから、また夜間部は4つの専攻それぞれの科目から、卒業生たちがデザイン・プロジェクトの成果を披露します。
ひとつひとつの成果の背景にある問いと試行錯誤と判断の積み重ねに思いを馳せつつ、ご高覧いただけますと幸いです。

桑沢デザイン研究所 第12代所長　佐藤竜平

会場